要点(3つ)

  • ChatGPTに店探しの質問を18回投げ、画面に出た引用元64件を全件記録したところ、Googleマップ由来の引用は0件。最多はグルメサイトで34件(53%)でした
  • ただし18回すべての回答の冒頭に、★評価と口コミ件数がついた店舗カードが表示され、薦められた111店(延べ数)のうち104店(94%)にカードが付いていました
  • そしてAIは「おすすめの理由」に、そのカードの数字をそのまま使っていました(具体的な数値を挙げた回答が8回、評価に言及したものを含めると少なくとも12回)。Googleマップはリンクとしては引かれていないものの、判断材料としては見られていました

クリップボードのグラフと手元。データを1件ずつ確認している様子

この記事で使う言葉

ChatGPTの画面に出てくるものを指すので、先に決めておきます。

  • 引用チップ … 回答の途中や末尾に出る、参照元サイトの名前が入った小さな四角いボタンです。押すとそのサイトが開きます
  • 「+1」のような省略表示 … 引用チップが多いとき、いくつかがまとめて隠される表示です。押すと残りが出てきます
  • 店舗カード … 回答の冒頭に出る、店名・★評価・口コミ件数・地図が並んだ枠です
  • 延べ数 … 同じ店が複数の回答に出てきた場合、その回数ぶん数えたものです
  • 中央値 … 小さい順に並べたときの、ちょうど真ん中の値です。平均と違い、極端に大きい・小さい値に引っぱられません

なぜこの調査をしたか

「AI検索の時代が来るから対策を」とよく言われますが、AIが店を薦めるとき、実際に何を見ているのかを画面の記録で確かめた資料は見当たりませんでした。

当メディアは「Googleビジネスプロフィールの整備はAI時代にも効く」と書いてきました。その根拠を推測ではなく実測で示すため、この調査を行いました。

調査の方法

  • 実施日:2026年9月11日
  • 使ったAI:ChatGPT(Plusプラン・ウェブ検索ON)。全18回でウェブ検索が動いたことを確認しました
  • 質問:3都市(札幌・名古屋・福岡)× 2業態(居酒屋・カフェ)の6問を、それぞれ3回ずつ=合計18回。毎回新しいチャットで実施しました(例:「札幌でおすすめの居酒屋を教えてください」)
  • 実施場所の影響:地域名を質問文に入れているため、受けにくい設計です
  • 記録方法:引用チップを1つずつ開いて全件記録しました。「+1」のような省略表示は展開し、省略のまま残したものはありません
  • AIへの質問:「どのサイトを参照したか」は質問していません。画面に出た表示だけを根拠にしています

結果1:引用元にGoogleマップは0件

引用チップは43回表示され、省略を展開すると64件でした。

引用元として表示されたサイトの内訳(全64件)
  1. グルメサイト(食べログ32件・Retty2件)34件53%
  2. メディア・ブログ(観光サイト・まとめ記事など)21件33%
  3. 店の公式サイト・公式SNS7件11%
  4. その他(Yahoo!マップ)2件3%
  5. Googleマップ・ビジネスプロフィール系0件0%

割合は64件に対する比率です。小数第1位まで出すと 53.1% / 32.8% / 10.9% / 3.1% / 0% で、足すと99.9%になります(四捨五入のためで、割り切る前の値の合計は100%です)。

グルメサイト34件のうち32件が食べログでした。ぐるなび・ホットペッパー・一休は一度も出てきませんでした。

店側が自分で手を入れられる情報源(公式サイト・公式SNS)は7件で、全体の11%(10.9%)でした。残る57件(89%)は他社のサイトです(グルメサイト34件+メディア・ブログ21件+Yahoo!マップ2件)。

64件それぞれのURLは公開していません。引用先のページには店名が入っており、そのまま並べると、当社と関係のない店を名指しで載せることになるためです。分類の基準は上の表のとおりで、どの分類に何件入ったかはすべて出しています。

同じ理由で、画面のスクリーンショットも載せていません。引用チップと店舗カードには実在の店名が写るためです。代わりに、上の「この記事で使う言葉」で画面のどこに何が出るかを説明しています。

結果2:それでも全18回に店舗カードが出た

引用元についてはここまでです。画面には、もう一つ重要なものが出ていました。

18回すべての回答の冒頭に、地図つきの店舗カードが表示されました。

  • 薦められた111店(延べ数)のうち104店(94%)にカードが付いていました
  • カードには★評価と口コミ件数が表示されていました
  • 以下の分布は、カードが付いた104店を分母にしています。★評価は中央値4.6(範囲3.9〜4.9)。4.0以上が100店(104店中96%)、4.5以上が71店(同68%)
  • 口コミ件数は中央値1,063件(範囲39〜21,618件)。500件以上が82店(104店中79%)、1,000件以上が53店(同51%)

カードが付かなかった7店は、ChatGPTの回答の文章の中で、公式サイトや食べログのランキングを根拠に挙げられていました。

結果3:カードの数字が「おすすめの理由」になっていた

AIが回答の中で店を薦める理由を書くとき、カードに出ている数字をそのまま引用していました。

  • 「口コミ評価4.8、1,600件超」のように具体的な数値を挙げた回答が8回
  • 「口コミ評価がかなり高い」「レビュー評価が高い」といった言い方まで含めると少なくとも12回

つまりAIは、食べログやメディア記事を「リンクの出どころ」として示しながら、選ぶ理由は店舗カードの評価と口コミ件数に置いていました。

この結果から言えること・言えないこと

言えること

  • 店探しの質問では、引用リンクとしてGoogleマップが出ることは期待できない(この18回では0件)
  • しかし★評価と口コミ件数は、AIの推薦理由に直接使われている
  • したがって、Googleビジネスプロフィールの評価を上げ、口コミを集めることは、AI時代の店探しでも意味がある。リンクを踏んでもらうためではなく、推薦理由の材料になるため

言えないこと(調査の制約)

  • 店舗カードの提供元は画面に表示されません。前日に別途4店を突き合わせたところ★評価と口コミ件数がGoogleマップの値と完全に一致したため、Googleマップ由来である可能性が高いものの、断定はできません
  • 1つのアカウント・1日の測定です。モデル・日時・アカウントが変われば結果は変わり得ます
  • このアカウントではChatGPTのメモリ機能(過去のやり取りを覚えておく機能)が有効だった可能性があります。18回中4回の会話データに、画面には表示されない過去の会話への参照が入っていました。中身は確認できないため集計に含めていませんが、前日(9月10日)に別の調査で同じ質問をしているため、回答が影響を受けた可能性は否定できません
  • 東京・大阪など他の都市、居酒屋・カフェ以外の業態は調べていません

そのうえで、この3点は言えると考えています。18回すべてにカードが出たこと、111店のうち104店(94%)にカードが付いていたこと、そのカードの数字が推薦理由の文章に現れたことは、メモリ機能の影響では説明がつきにくいためです。逆に「Googleマップ由来である」「他の都市でも同じ」という部分は、この調査だけでは言えません。

店側は、何をすればよいか

この結果を踏まえた具体的な手順は、解説記事にまとめています。

当メディアは毎月測り続けます

この調査は1回きりの観測です。1回の結果で結論を出さないため、当メディアは毎月20の質問をAIに投げ、引用の記録を残して公開していきます。

この20問は毎月続けるための新しい仕組みで、今回の18回(6問×3回)とは別のものです。毎月の計測はAPI(プログラムからAIを呼び出す仕組み)を使った自動集計で行うため、今回のように画面のチップを1つずつ開く方法とは手法が異なります。